日本におけるすべての企業や労働者が守らなければならない法律である労働基準法。労働者を守るための法律でもあります。ですが実際のところはどうなのでしょうか。結論から言うと、今の介護業界で労働基準法を完全に守ることは難しいのが現状です。というのも、介護業界では慢性的な人材不足のせいで、職員全員が労働基準法通りに勤務すると施設運営すらままならない場合があるのです。
そのため、介護士の長時間労働になりがちなのですが、一方でそれに対して残業代をきっちりと支払っていると、人件費が高くなる原因となります。そのため、残業代を端数で切り捨てたり、全く払わないなどの、いわゆるサービス残業が横行してしまうのです。こうなると、今いる介護職員の不満もたまってしまい、職場の人間関係が悪化したり、離職率が上昇してしまい、さらに人手が不足する悪循環に陥ってしまいます。
他にも、勤務時間外にミーティングや日報の記入などがあると、それも本来は勤務時間扱いになるのですが、それを黙ってサービス残業にしてしまうケースもあります。こういった違法事例が、慣習として残ってしまっているのです。また、えてしてこういった労働環境では、人間関係が悪化しやすくなります。現代ではこういった人材不足の問題に対して、ICT化やDX化を推進するなどして、現場の負担を減らそうとするための取り組みが進められています。今すぐに全て解決することは難しいかもしれませんが、働きやすい職場を構築しようとする動きもありますので、今後の動向に注目です。
1997年に公布された、介護保険法をご存じでしょうか。介護保険法は2000年から施行された、介護保険制度の為の法律です。この介護保険法は、3年を一期として見直しが行われています。まず介護保険は40歳以上の人は加入者とし、保険料を収めなくてはいけません。しかし、自身が介護や支援が必要だと認定されれば、介護サービスを利用する事ができます。このように、介護が必要となった人やその家族を社会で支えていく仕組みになっています。
国民が負担している保険料や、税金が元ととなり、介護の必要な人が給付を受ける事ができます。そしてその制度の運用の為のあらゆる決まりを定めています。これらを実行していく大きな目的は、要介護の状態であっても、自分らしく自立した日常生活を送って行けるようにすることです。その為、保険や福祉、医療が一体となって、安全で安心できる介護サービスを提供しています。
また、介護保険を利用できる人の条件も介護保険法で、定められています。利用できる人は、日常的に介護が必要な人「要介護者」、または要介護者にならない為にも、予防が必要な「要支援者」です。この「要介護者」や「要支援者」の条件も、介護保険法で定められています。これらの認定を受けると、介護保険のサービスを、1〜3割負担で受けられます。提供されるサービスは、自宅にいながら利用可能な「住居サービス」や、施設に入る「施設サービス」、自分が暮らしてきた地域で生活する為の「地域密着型サービス」です。今後も、誰もが安心して自立した生活が送れるように、介護保険法は見直され続けます。