知っておきたい労働基準法の「変形労働時間」とは?

働く人の権利を守るための法律が、労働基準法です。この法律では労働時間や休憩時間、休日、賃金など、さまざまな条項が定められています。多くのルールがあるので、全ての条項を把握するのは難しいですが、介護職員に関わる内容として知っておきたい条項の1つに、「変形労働時間」に関する法律があります。これは、労働基準法第32条の二に定められている条項です。

介護職員に限らず一般的な職業では、勤務時間が毎日同じ場合は、1週間の労働時間は40時間と決められています。ただし、従業員が10人未満の小規模な介護事業所は特例が適用され、週44時間まで労働させても良いと認められています。
しかし、老人ホームなど24時間体制で介護サービスを提供する介護施設では、日勤と夜勤が繰返されるので、1日の労働時間はシフトによって変わります。このような事業所では、1週間単位ではなく、1か月または1年単位で労働時間を管理する「変形労働時間制」が認められています。

変形労働時間制には、1か月単位で管理する「月の変形労働時間制」と、1年単位で管理する「年間での変形労働時間制」がありますが、多くの介護事業所では「月の変形労働時間制」が採用されています。
この場合の労働時間は、1か月の日数が31日の場合の労働時間は177.1時間まで、30日の場合は171.4時間まで、29日の場合は166.7時間まで、28日の場合は160.0時間までが上限と決められています。
雇用側は、上記の時間を上限としてシフトを作成し、1日ごとの労働時間を決めておく必要があります。そして、決められた労働時間を超えたら、残業になります。