労働基準法とは、文字通り日本における労働の基準を示した法律であり、労働者の権利や最低限の労働環境を保障するものです。そして法律である以上、それに違反した場合は使用者側に罰則が科せられます。しかし、介護業界では職場の慣習や雰囲気によって法令違反が軽んじられてしまう場合があります。例えば、出勤時間よりも早く出社して掃除をすることや、日報を勤務時間終了後に記入するように指示されることは、厳密にはれっきとした残業であり、その分の給料が支払われる必要があるのです。
しかし、「みんなやってるから」という理由で流されてしまいがちです。他にも、休憩時間は労働基準法において「労働から自由な時間」であると定められています。ここでいう自由とは、一切仕事に触れる必要がない、ということです。よって、休憩時間でも電話対応をしなければならない、あるいはそのような雰囲気を余儀なくされている場合は、実は正しい休憩時間になっていないのです。また、休日でも上司からの電話に出なければならない場合は、それも立派な勤務時間になるため注意が必要です。
一方で、直感に反するような法律の取り決めもあります。労働基準法において、8時間以上の労働に対しては1時間の休憩を取ることが義務付けられています。つまり、16時間など長時間にわたる勤務の場合も、法律的には1時間の休憩で問題ないということになります。しかし、労働基準法とは別に、国や公共の機関によるガイドラインが定められていたりするほか、無理な夜勤で体調を崩した場合は労災認定の可能性があります。あくまで労働基準法は最低限の基準であり、それ以上に労働者を思いやる環境が重要なのです。